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論評RONPYOIndependent Research
OPEN FILE大量保有報告論評編集部公開 2026.05.01更新 2026.06.13

ゴールドマンSがTOKYO BASEを5.92%保有、トレーディング名義で参入

【結論】ゴールドマン・サックス・インターナショナルによるTOKYO BASE株5.92%の大量保有は、長期投資を意図する戦略的保有とは性格を異にするトレーディング起源の保有として読み解くべきであり、単純に強気シグナルと解釈することには慎重さが求められる。一方、KEY TIMEZ始動と海外事業黒字化という二つの事業変化を市場参加者が織り込み始め、TOKYO BASE株に対する関心が国際的な証券業務の射程に入ってきたと見るのが自然だ。

保有割合
5.92%
発行済43,959,482株対比
保有株数
2,602,477株
普通株式のみ・潜在株券等ゼロ
報告種別
新規(初回)
直前報告書なし
保有目的
トレーディング
有価証券関連業務の一部・借入等

出典:大量保有報告書(特例対象)、関東財務局長宛提出、2026年4月2日受理、報告義務発生日2026年4月5日

第1章

サマリー:誰が・何を・どれだけ・どの目的で

本報告書は金融商品取引法第27条の26第1項(特例対象株券等)に基づき、2026年4月2日に関東財務局長へ提出された。大量保有者の実体はゴールドマン・サックス・インターナショナル(Goldman Sachs International、英国法人)であり、ロンドンのPlumtree Court, 25 Shoe Lane(EC4A 4AU)に本拠を置く。提出代理人はゴールドマン・サックス証券株式会社(代表取締役社長)が務めた。報告義務発生日から換算して法定期間内の適正開示である。

発行体名称
株式会社TOKYO BASE(証券コード3415)
上場市場
東京証券取引所プライム市場
大量保有者
Goldman Sachs International(英国法人)
所在地
Plumtree Court, 25 Shoe Lane, London EC4A 4AU, United Kingdom
代表者
Anthony Gutman / Kunal Shah(Co-Chief Executive Officer)
設立年月日
1988年6月1日
事業内容
証券業
保有株数
2,602,477株(普通株式のみ、潜在株券等ゼロ)
発行済株式総数
43,959,482株(2026年4月5日現在)
株券等保有割合
5.92%
保有目的
有価証券関連業務の一部としてのトレーディング・有価証券の借入等(記載ベース)
借入契約
関連会社(ゴールドマン・サックス証券株式会社)から30,740株を株券消費貸借により借入
報告種別
新規(初回)―直前報告書なし
根拠条文
金融商品取引法第27条の26第1項(特例対象)

出典:大量保有報告書(特例対象)、関東財務局長宛提出、2026年4月2日

第2章

提出者とは:GSIの素性と運用スタイル

ゴールドマン・サックス・インターナショナル(GSI)は、ゴールドマン・サックス・グループの欧州・中東・アフリカ地域における中核的証券業務法人である。株式・債券・デリバティブのマーケットメイク、エクイティファイナンス、ヘッジファンドへのプライムブローカレッジサービスを主要業務とし、英国金融行為規制機構(FCA)の監督下に置かれる。1988年設立、ロンドン拠点。

本報告書における保有目的の記載「有価証券関連業務の一部としてのトレーディング・有価証券の借入等」は、ゴールドマン・サックスが国内外の多数銘柄に対して定型的に使用する文言であり、個別銘柄への投資判断を反映したものではない。これはFMR LLCのような長期志向の資産運用会社とは保有の性格が根本的に異なる点である。トレーディング目的の保有はマーケットメイク業務・ETFリバランス・デリバティブデルタ変動などに連動して高頻度で増減しうる。

特例対象報告書の性質上、60日間の売買ログは本書面に添付されない。このため、どのような取引過程を経て5.92%という保有水準に至ったかは開示情報からは確認できない。また、関連会社であるゴールドマン・サックス証券株式会社から30,740株を株券消費貸借により借入れているという契約の存在は、空売りや証券貸借業務との関連から生じた借入ポジションを反映したものと解釈される。

出典:大量保有報告書(特例対象)記載事項に基づく

第3章

取得の構造:方法・関係者・借入の位置づけ

本保有は普通株式2,602,477株(保有割合5.92%)のみで構成され、潜在株券等はゼロである。取得方法は報告書上「トレーディング」であり、市場内売買を通じた積み上がりと考えられる。直前報告書が存在しないため、今回が初めて5%閾値を超えた開示となる。

保有内訳
普通株式 2,602,477株(潜在株券等ゼロ)
保有割合
5.92%(発行済43,959,482株対比)
借入株数
30,740株(関連会社・ゴールドマン・サックス証券株式会社から株券消費貸借)
取得方法
有価証券関連業務の一部としてのトレーディング
直前保有割合
―(記載なし:初回報告)

関連会社からの30,740株の借入は、グループ内の証券貸借スキームの一環とみられる。借入分を含む保有構造はGSIのデスクが複数の取引目的(ヘッジ、デルタ調整、貸借業務など)を並行して遂行している実態を反映している可能性がある。ただし、開示情報から最終的な意思決定主体や取引目的を個別に特定することはできない。

TOKYO BASEのような発行済株式総数が相対的に限定的な銘柄では、ブロック取引一件で保有割合が閾値を越えることがある。流動性の制約が大量保有報告義務の発生頻度に影響する点にも留意が必要だ。

出典:大量保有報告書(特例対象)、関東財務局長宛提出、2026年4月2日

第4章

論点の整理

本報告書から導かれる主要な論点は以下の3点である。

論点① トレーディング保有の流動性
GSIのトレーディングデスクによる保有は、業務上の必要性に応じて短期で増減する可能性が高い。保有割合が5%未満に低下すれば変更報告書が提出される。今回の5.92%が一時的なピークである可能性は十分にある。
論点② プライムブローカー経由の実質的投資主体
GSIのプライムブローカレッジ業務を通じてヘッジファンドがTOKYO BASE株のロングポジションを構築し、GSI自身がそのデルタヘッジとして株式を保有している可能性がある。この場合、実質的な意思決定主体はGSIではなく最終顧客となるが、本報告書の開示情報からは確認できない。
論点③ TOKYO BASEの事業変化との接点
KEY TIMEZ始動(2026年3月、表参道・新宿・大阪・難波・香港)と海外事業の黒字化という二つの事業変化が、国際的な証券業務の関心を引き寄せた背景として読み取れる。2026年1月期第3四半期累計(〜10月)の連結経常利益は前年同期比4.5%増の9.6億円、通期計画17.5億円に対する進捗率は55.1%と開示されている。

出典:大量保有報告書(特例対象)、同社IR開示資料

今後の監視ポイントとしては、変更報告書の提出有無(保有割合の増減)、および保有目的欄の記載変更(「トレーディング」から「純投資」等への転換)が挙げられる。目的変更があれば、企業ガバナンスへの影響を再検討する必要が生じると見るのが自然だ。

論点 → 監視

この保有を、どう読むか

変更報告書の追加取得の有無を継続して記録する。保有目的に動きがあれば、企業ガバナンスへの影響を反映する。

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