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論評RONPYOIndependent Research
OPEN FILE大量保有報告論評編集部公開 2026.06.24更新 2026.06.24

モダリス(4883)大量保有報告 Evo Fund 新規取得22.69%

4883 ・ 東京証券取引所 ・ 医薬品
大量保有報告書(新規・連名) ・ 報告義務発生日 2026年6月12日 ・ 提出日 2026年6月19日
提出者:エボ ファンド(Evolution Capital Management運用) 保有割合:22.69%
ゲノム編集技術を応用した遺伝子治療薬の研究開発を手がけるバイオベンチャー

論評

Evo Fundが第19回新株予約権24,000,000株(潜在割合19.94%)を第三者割当で一括取得し、借株3,300,000株と合算した保有割合を22.69%と開示した。新規報告ながら、60日間の取引履歴には第17回新株予約権の段階的な行使・処分と借株の往来が記録されており、同社との取引関係はすでに相当の期間にわたる。

保有目的は純投資とされているが、「状況に応じて経営陣に助言を行う場合がある」との留保が付されており、純粋な財務的保有に限定しない余地を明示的に残している。

株券実保有は借株のみ(3,300,000株)、新株予約権24,000,000株はすべて潜在株であり、行使が進むにつれて発行済株式数が拡大する構造だ。買取契約には発行者による行使停止権・行使数量制限が設けられており、両者の利害は一定の拘束関係の中に置かれている。

保有割合
22.69%
潜在株含む議決権ベース
+新規取得

報告区分
新規
大量保有報告書(連名・初回)
前回比なし

提出者属性
外国法人
ケイマン諸島 PIPE専門型
新株予約権主体

保有目的
純投資
経営助言留保あり
重要提案行為等:なし

第1章

概要

提出者はエボ ファンド(Evo Fund、以下「第1提出者」)およびエボリューション・キャピタル・マネジメント(Evolution Capital Management LLC、以下「ECM」)の2者による連名報告。代表者はいずれもリチャード・チゾムが兼任する。ECMは投資一任契約に基づく運用主体であり、株式上の権利は第1提出者に帰属し、ECMの実質保有数は0株(AA控除により相殺)とされている。

対象会社はモダリス(証券コード4883)。東京証券取引所上場のバイオベンチャーで、ゲノム編集技術を基盤とした遺伝子治療薬の研究開発を展開する。発行済株式総数は2026年6月12日現在96,334,098株。

連名合計の保有割合は22.69%(株券3,300,000株+新株予約権潜在24,000,000株の合計27,300,000株を、発行済96,334,098株+AE48,000,000株−AF24,000,000株=120,334,098株で除して算出)。直前の報告書に記載された保有割合の記載はなく、本報告書が初回となる。

第2章

取得の状況

最近60日間の取引を整理すると、第17回新株予約権の段階的な行使・普通株への転換と市場内処分の繰り返し、借株の往来という複層的な動きが記録されている。第19回新株予約権の取得は2026年6月12日に集中している。

種別・内容 株数 区分 単価等
株券(借株)現保有 3,300,000 市場外・借株
第19回新株予約権 24,000,000 市場外・第三者割当 0.11円/個
合計(潜在株含む) 27,300,000

取得資金合計2,640千円(Evo Fundの自己資金)。借株3,300,000株の内訳:LSIM 2,000,000株、ステート・ストリート・バンク 1,000,000株、BNPパリバロンドン支店 300,000株。

第17回新株予約権については、4月14日〜4月23日にかけて合計2,500,000株分を段階的に行使(単価53〜54円)し、同時期に行使取得株の大部分を市場内で処分している。また、4月27日〜5月1日に借株2,340,000株を返済し、5月27〜28日に新たに2,300,000株を借り直している。こうした新株予約権の行使・転換・売却・借株の回転がEvo Fundのスキームとして定型化していることが読み取れる。

第3章

目的

第1提出者の保有目的は「純投資であり、状況に応じて経営陣に対して経営の助言を行う場合がある」とされている。重要提案行為等への該当はないと明記されているが、助言の余地を残す記載は、純粋な財務投資に完全に限定する意図ではないことを示唆する。ECMの目的は「純投資(投資一任契約に基づく運用)」と記載されている。

保有目的(Evo Fund) 純投資+経営助言留保
保有目的(ECM) 純投資(投資一任)
重要提案行為等 該当なし(両者とも)
共同保有者 なし(第3章:該当事項なし)
担保契約等 買取契約(行使停止権・行使数量制限付き)/借株3社

買取契約(2026年5月27日付)には、発行者が行使禁止期間を指定する権利、および第1提出者が発行者指定数を超える行使を行わない義務が規定されている。新株予約権の譲渡には発行者取締役会の承認が必要とされており、市場への影響を発行者が一定程度コントロールできる構造となっている。

第4章

論点整理

01
保有割合22.69%は、発行済株式の単純計算では到底届かない水準であり、分母にAE(共同保有者の潜在株48,000,000株)が加算されることで抑制されている。実際に第19回新株予約権24,000,000株をすべて行使した場合、発行済株式数は大幅に拡大し、既存株主の持分は希薄化する。
02
実株保有は借株3,300,000株のみであり、取得資金2,640千円(新株予約権払込)という低い現金支出でこれほどの潜在影響力を形成するのが、Evo Fundのスキームの特徴だ。借株は複数の機関(LSIM・ステート・ストリート・BNPパリバ)から調達しており、株式貸借市場への依存度が高い。
03
60日間の取引記録に見られる第17回新株予約権の行使→株式取得→市場内処分という循環は、新株予約権を資金調達手段として活用する発行者と、低コストで転換益を得るEvo Fundの利害が一致した典型的なPIPEスキームの動きと見るのが自然だ。
04
「経営陣への助言」留保は、Evo FundがPIPE案件で頻用する標準的な記載ではあるが、22.69%という水準は▲単純な財務投資の域を超える影響力を潜在的に内包している。重要提案行為等の対象外とされている現時点では、対話の実態は開示されない。
05
第19回のほかに過去の第17回の残高(行使前)がどの程度あったかは本報告書からは読み切れない。変更報告書の提出タイミングと行使進捗が、モダリスの資本構造の変化を測る次の観測点となる。
Evo Fundによるモダリスへの参入は、第17回に続く第19回新株予約権の取得という継続的なPIPEスキームの延長線上にある。22%超の潜在保有割合と借株の組み合わせ、そして行使停止権を持つ発行者との買取契約——これらが今後どのような均衡をたどるかが、継続して記録すべき焦点だ。

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