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論評RONPYOIndependent Research
OPEN FILE大量保有報告論評編集部公開 2025.07.14更新 2026.06.13

JPモルガンが大塚商会株5.17%保有

JPモルガン・グループ7社による大塚商会株5.17%保有は、運用・証券・プライムブローカレッジの各機能が横断する多層構造であり、名義上の保有と実質的なガバナンス権限の帰属が一致しない状態にあると見るのが自然だ。

合計保有割合
5.17%
5%超・報告義務発生
合計保有株数
19,649,653株
7法人合算
報告種別
大量保有報告書
特例対象株券等
保有目的(記載ベース)
純投資/証券・銀行業務
各社記載による

出典:関東財務局提出・大量保有報告書(2025年7月3日付)

第1章

サマリー

報告提出日
2025年7月3日
提出先
関東財務局
発行会社
大塚商会(証券コード:4768)
報告種別
大量保有報告書(特例対象株券等)
筆頭報告者
JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社
報告グループ構成
JPモルガン・グループ7社
合計保有株数
19,649,653株
合計保有割合
5.17%
保有目的(記載ベース)
投資顧問業務における顧客資産の純投資、および証券・銀行業務のための保有

出典:関東財務局提出・大量保有報告書(2025年7月3日付)

第2章

【提出者】とは

筆頭提出者はJPモルガン・アセット・マネジメント株式会社(日本法人)であるが、報告主体はJPモルガン・グループ全体の7法人にわたる。グループはアメリカ・イギリス・香港・日本に跨る多国籍金融コングロマリットであり、運用部門(アセット・マネジメント)、証券部門(証券会社・ブローカーディーラー)、プライムブローカレッジ機能を一体的に有する。

今回の保有は、投資信託・顧客資産運用に伴う純投資目的の運用部門と、証券・銀行業務目的の証券部門という異なる機能が複合している点が特徴的である。報告書の記載に基づけば「純投資」とされるが、後述するプライムブローカレッジ契約や貸借取引の存在から、運用スタイルは均一ではなく多層的と整理すべきである。

出典:大量保有報告書記載事項に基づく

第3章

取得の構造

保有株式は以下の7法人に分散して保有されており、最大保有者はJPモルガン証券株式会社(日本)の12,196,621株(3.21%)で、グループ全体の約3分の2を占める。

保有者 所在 株数 保有割合
JPモルガン・アセット・マネジメント(日本) 日本 1,942,300 0.51%
J.P. Morgan Investment Management Inc. 米国 2,011,600 0.53%
JPMorgan AM (Asia Pacific) Limited 香港 494,900 0.13%
JPモルガン証券株式会社 日本 12,196,621 3.21%
JPモルガン・セキュリティーズ plc 英国 317,228 0.08%
JPモルガン・セキュリティーズ LLC 米国 1,179,904 0.31%
JPモルガン・マンサール・マネジメント Ltd. 英国 1,507,100 0.40%
合計 19,649,653 5.17%

出典:大量保有報告書(2025年7月3日付)記載数値

報告書には、JPモルガン証券(日本)が英国法人との間で3,483,119株の貸付・1,967,634株の借入を行っていることが記載されており、グループ内での名義移動を伴う担保契約・消費貸借の存在が確認される。JPモルガン証券(日本)およびセキュリティーズLLCは、保有株の一部をプライムブローカレッジ契約等で他機関投資家へ貸し出しているとされる。

5.17%という水準への到達は単独法人によるものではなく、複数ファンドでの買付集中・機関投資家間の株券移動・貸借スキームの組成が複合した結果と報告書から読み取れる。大塚商会はオフィス機器・ITインフラ導入支援を中心とするBtoB系上場企業であり、ESGテーマやディフェンシブ資産として指数連動・セクター投資の対象となりやすい特性を持つ点も、取得局面の背景として報告書の記載と合わせて指摘できる。

出典:大量保有報告書(2025年7月3日付)

第4章

論点の整理

今回の大量保有報告から、以下の3点を主要な論点として整理する。

論点①:名義保有と実質的ガバナンス権限の乖離
担保契約・消費貸借・プライムブローカレッジ契約が並行して存在するなかで、株主としての議決権が実体としてどの主体に帰属するのかが不明確になる構造的な状態が確認される。5.17%という保有割合に対して、実効的な議決権行使主体が必ずしも一致していない可能性がある。
論点②:保有目的記載の形式性
各社とも「純投資」または「証券・銀行業務のための保有」と記載しているが、プライムブローカレッジや貸借取引の存在を踏まえると、実際の保有目的は流動的であると見るのが自然だ。形式的な記載と実態の乖離については継続的な確認が必要である。
論点③:日本企業側のエンゲージメント構造
大塚商会のような中核IT企業において、超大手外資系金融グループが5%超の資本を断片的・流動的に保有する場合、発行会社側から持続的なエンゲージメントを要求することの実効性が問われる。議決権行使の履歴・外部開示の状況を継続して記録することが求められると見るのが自然だ。

出典:大量保有報告書(2025年7月3日付)および旧記事分析に基づく整理

論点 → 監視

この保有を、どう追うか

変更報告・追加取得の有無を継続して記録する。プライムブローカレッジ契約に関する外部開示の動向、および議決権行使履歴の開示状況に変化があれば、企業カルテに反映する。

企業カルテで追う →

RELATED FILES

大塚商会(4768)のファイル

企業カルテ

大塚商会 4768

SRF・保有状況・質問状を集約

カルテを開く →

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