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論評RONPYOIndependent Research
OPEN FILE大量保有報告論評編集部公開 2026.05.13更新 2026.06.13

オアシスがIIJを7.48%取得、重要提案行為を宣言

オアシス・マネジメントがIIJに7.48%という第三の大株主水準で初回大量保有報告書を提出し、「重要提案行為」を明記した。KDDI・NTTグループという競合他社による二極支配構造というガバナンス課題がその介入仮説の核心にあると見るのが自然だ。

株券等保有割合
7.48%
発行済183,448,852株対比
保有株数(総数)
13,723,994株
全額ファンド資金
報告種別
初回報告
金商法第27条の23第1項
保有目的(記載ベース)
重要提案行為を含む
ポートフォリオ投資および重要提案行為

出典:大量保有報告書(関東財務局長宛、提出日2026年5月7日、報告義務発生日2026年4月24日)

第1章

サマリー

発行体
株式会社インターネットイニシアティブ(3774)東証プライム市場
提出者
オアシス マネジメント カンパニー リミテッド(Oasis Management Company Ltd.)
報告義務発生日
2026年4月24日
提出日
2026年5月7日
根拠条文
金融商品取引法第27条の23第1項
報告種別
初回大量保有報告書(直前保有割合の記載なし)
保有株数(総数)
13,723,994株(全額ファンド資金)
発行済株式等総数
183,448,852株(2025年12月31日現在)
株券等保有割合
7.48%
取得資金合計
36,441,482千円(借入なし・担保契約なし)
保有目的(記載ベース)
ポートフォリオ投資および重要提案行為。「株主価値を守るため、重要提案行為を行うことがある」と明記。
設立・所在地
2011年6月16日(ケイマン諸島法人)、グランド・ケイマン、ウグランド・ハウス
提出代理人
祝田法律事務所(東京都千代田区丸の内3-4-1新国際ビル9階)

出典:大量保有報告書(2026年5月7日提出)

第2章

提出者とは

オアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッドは、香港のセントラルを実質的な拠点とする資産運用会社であり、2002年に設立された(法人格はケイマン諸島)。日本・韓国・中国など東アジア市場における株主価値の解放を専門とし、企業との書簡交換・メディアへの情報公開・株主提案・訴訟提起まで多岐にわたる手法を駆使する「戦闘的アクティビスト」として市場での評価を確立している。

同社の代表的な日本案件として、大正製薬HDへの介入(MBO価格の不当性を公開書簡で指摘し価格引き上げを要求)、ツルハHDへの介入(低価格MBO案件での公開圧力)、花王への介入(ガバナンス改革要求)、KADOKAWAへの8.86%取得、ニデックへの6.74%取得(永守氏の企業支配への懸念表明)などが挙げられる。IIJへの参入と同日付(2026年4月23日義務発生)でプラスアルファ・コンサルティングへの8.02%取得という大量保有報告書も提出されており、複数案件を同時並行で仕掛ける多面展開の手法が今回も確認できる。

本報告書の提出代理人が祝田法律事務所という点もオアシスの過去の日本案件と一貫しており、組織的な日本市場介入の体制が整っていることを示している。

出典:大量保有報告書(2026年5月7日提出)記載内容および旧記事掲載情報に基づく

第3章

取得の構造

本報告書に記録された直近60日間の取得ログは4件で構成される。2026年3月13日に市場内で100株を取得した後、約6週間の沈黙を経て、4月23日に市場内6,800株・市場外300,000株(単価2,817円)、翌4月24日に市場外4,880,209株(単価2,761円)という大規模な取得を実行し、一気に7.48%に到達した。3月13日の100株取得は参入前の地均しと解釈するのが自然であり、本格的な参入は4月23〜24日の2日間に集中している。

年月日 数量(株) 割合 区分 単価
2026年3月13日 100 0.00% 市場内 非開示
2026年4月23日 6,800 0.00% 市場内 非開示
2026年4月23日 300,000 0.16% 市場外 2,817円
2026年4月24日 4,880,209 2.66% 市場外 2,761円

出典:大量保有報告書(2026年5月7日提出)直近60日間の取得状況欄

4月24日の4,880,209株・単価2,761円という単一取引は金額にして約134.7億円に相当する。市場外取引として記録されており、事前に特定の売り手と相対交渉を行ったブロック取引として想定される。取得資金総額36,441,482千円(約364億円)はすべてファンド資金であり、借入・担保契約はない。総取得コストを保有総数13,723,994株で割ると平均取得単価は約2,653円と試算される。

出典:大量保有報告書(2026年5月7日提出)取得資金の総額欄

第4章

論点の整理

本報告書から導かれる構造的な論点を3点に整理する。

論点① 競合他社による二極支配構造
IIJはKDDIとNTTグループが各11.5%程度を保有する二極体制にあり、両者は事業上の競合相手でもある。創業者・鈴木幸一会長(KS Holdings経由での間接保有)が経営の実権を握る「創業者支配×競合他社による大株主二極構造」という複合的なガバナンス課題が存在する。オアシスが「株主価値を守るため」と宣言した文脈は、この構造的な利益相反への外部圧力の行使として読み解くことができる。

論点② 電撃的参入が示す時間軸意識
2日間の集中取得で7%超に到達するという手法は、長期的な分散取得を選ぶパッシブ投資家とは真逆の行動原理を示す。オアシスが既に明確な要求項目を有し、その実現に向けた時間軸を意識しながら動いている可能性を示唆している。2026年6月頃に予定される定時株主総会が最初の正式な焦点となる。

論点③ NASDAQ上場廃止(ADR)との関係
IIJはNASDAQ上場廃止(ADR)という資本市場上の変化も抱えており、少数株主にとっての市場流動性と価値実現の機会が従来より制約される局面にある。オアシスの参入タイミングとこの変化の時間的な重なりは、少数株主保護の観点からの介入仮説と整合する。

出典:大量保有報告書(2026年5月7日提出)記載内容および旧記事掲載情報に基づく

次の変更報告書が示す保有変動の方向、および2026年5月14日に予定されるIIJの通期決算発表後の経営陣による資本政策コメントが、この案件の性格を規定する最初の指標となると見るのが自然だ。

論点 → 監視

この保有を、どう追うか

変更報告・追加取得の有無を継続して記録する。保有目的に動きがあれば、企業カルテに反映する。

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