石井食品(2282)2026年3月期 決算分析
論評
第85期は売上高が前期比+1.0%と微増で着地したものの、資産除去債務の見積り変更(八千代工場解体計画の具体化)に伴う減価償却費の追加計上114百万円が収益を直撃し、営業利益は▲261百万円の急落で6百万円にとどまった。最終損益は減損損失83百万円も加わり、当期純損失125百万円と4期ぶりの赤字転落となった。
一方で営業キャッシュ・フローは684百万円と前期の117百万円から大幅に改善しており、純損失にもかかわらず減価償却費531百万円が牽引する形でキャッシュは積み上がった。現金同等物残高(206億円)は有利子負債残高(198億円)をわずかに上回り、実質的なネットキャッシュ状態が続いている。
八千代工場用地の大和ハウス工業への譲渡(契約締結済み、引き渡し2030年7月予定、譲渡価額80億円)は、次期生産体制の再編資金として機能する計画だが、特別利益の計上は2030年度見込みと先は長い。今期の損失は「構造整理の前払いコスト」という性格が強く、主力食肉加工品の量販店向け売上は堅調を維持している点は記録にとどめておく。
業績ハイライト
| 項目 | 第84期(百万円) | 第85期(百万円) | 増減額 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 10,870 | 10,980 | +110 | +1.0% |
| 売上総利益 | 3,628 | 3,562 | ▲65 | ▲1.8% |
| 営業利益 | 268 | 6 | ▲261 | ▲97.6% |
| 経常利益 | 310 | 5 | ▲305 | ▲98.5% |
| 親会社株主帰属純利益(損失) | 288 | ▲125 | ▲413 | — |
| 営業キャッシュ・フロー | 118 | 684 | +566 | +481% |
連結。百万円未満切り捨て。増減は第85期−第84期。営業利益の大幅減少は資産除去債務見積り変更に伴う減価償却費の追加計上(114百万円)が主因。
財務の構造
| 項目 | 第84期末(百万円) | 第85期末(百万円) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 総資産 | 7,657 | 8,200 | +543 |
| 純資産(合計) | 3,852 | 3,820 | ▲32 |
| 自己資本比率 | 50.3% | 46.6% | ▲3.7pt |
| 有利子負債(借入金+リース) | 1,994 | 1,977 | ▲17 |
| 現金・現金同等物 | 1,812 | 2,063 | +251 |
| ネット有利子負債(+はネットキャッシュ) | ▲182 | +86 | +268 |
新株予約権・非支配株主持分はいずれも計上なし。自己資本=純資産合計。有利子負債は短期借入金1,900百万円+リース債務77百万円の計。
CFと利益の質
| 期 | 純利益(百万円) | 棒グラフ(■純利益 □営業CF) | 営業CF(百万円) | アクルーアル |
|---|---|---|---|---|
| 2022/3 | 16 | 155 | ▲139 | |
| 2023/3 | 309 | 341 | ▲32 | |
| 2024/3 | 472 | (CF↑1,248) | 1,248 | ▲776 |
| 2025/3 | 288 | 118 | +170 | |
| 2026/3 | ▲125 | (CF↑684) | 684 | ▲809 |
アクルーアル=純利益−営業CF。▲(bronze)はCF>純利益で利益の質が高い状態。+(navy)は純利益>CFでアクルーアルが蓄積している状態。棒の幅は純利益・CFそれぞれを最大値480Mを120pxとして比例表示。2024/3・2026/3のCFは棒を120pxでクリップし実数を注記。
業績予想・配当
有価証券報告書の提出時点(2026年6月29日)では翌期(第86期)の業績予想の数値記載は確認されない。配当については、当期純損失にもかかわらず1株当たり4円の期末配当(総額66百万円)を維持した。中間配当の実施はなく、年間配当額は前期と同額。
| 区分 | 第83期 | 第84期 | 第85期 |
|---|---|---|---|
| 1株当たり配当(円) | 4.00 | 4.00 | 4.00 |
| 配当総額(百万円) | 67 | 67 | 67 |
| 配当性向(連結) | 14.7% | 23.1% | —(純損失期) |
配当の利回りは記載しない(媒体ポリシー)。純損失期にも配当を維持した判断は「安定配当方針」に基づく。
資本効率と株主還元
ROEは当期純損失のため算定対象外。資産回転率(売上高109.8億円÷総資産82.0億円=1.34回)および財務レバレッジ(総資産82.0億円÷純資産38.2億円=2.15倍)の構造自体に大きな変化はなく、純利益マージンの消失が損失の主因。
| 設備投資総額(第85期) | 640百万円 |
| うち生産性向上関連 | 360百万円(京丹波工場梱包自動化等) |
| うち維持更新関連 | 163百万円(唐津工場殺菌層等) |
| 配当総額 | 67百万円 |
| 自己株式取得 | 0.02百万円(単元未満株の買取りのみ) |
| 翌期設備投資計画(唐津工場 幼児食設備) | 274百万円(2026年4月着手、2027年3月完成予定) |
| 政策保有株式(上場11銘柄)簿価 | 970百万円(千葉銀行 682百万円が最大) |
政策保有株式(上場11銘柄)の簿価合計970百万円は株主資本(3,280百万円)の約30%に相当する。
