株式会社SBI証券 2026年3月期 決算分析
論評
SBI証券は2026年3月期、営業収益2,846億円(前期比+19.2%)、経常利益904億円(同+18.1%)と増収増益を継続し、預り資産は60兆8,012億円に達した。
営業活動によるキャッシュ・フローは前期の213,733百万円の支出から826億円の収入へ転じており、信用取引や有価証券担保取引に伴う資金繰りが前期とは逆方向に動いた年だったと見るのが自然だ。
前期に実施していた500億円の配当は当期実績としては計上されておらず、内部留保を積み増す一年となった。
業績ハイライト
| 項目 | 今期 | 前期 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 284,630百万円 | 238,867百万円 | +19.2% |
| 営業利益 | 86,752百万円 | 77,128百万円 | +12.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 53,604百万円 | 47,865百万円 | +12.0% |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 82,655百万円 | ▲213,733百万円 | 黒字転換 |
経常利益は90,458百万円(前期比+18.1%)。金融収益の増加(信用取引・有価証券貸借取引の拡大)が主因。
財務の構造
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 総資産 | 8,325,166百万円 | 7,125,367百万円 | +16.8% |
| 自己資本 | 307,332百万円 | 250,404百万円 | +22.7% |
| 自己資本比率 | 3.7% | 3.5% | +0.2pt |
| 有利子負債(社債・借入金等) | 1,690,404百万円 | 1,476,939百万円 | +14.5% |
| 現金及び現金同等物 | 929,182百万円 | 699,707百万円 | +32.8% |
| ネット有利子負債 | 761,222百万円 | 777,232百万円 | ▲2.1% |
自己資本=純資産合計(当期末311,437百万円)から新株予約権(178百万円)および非支配株主持分(3,927百万円)を控除。有利子負債は短期社債・短期借入金・1年内償還予定の社債・社債・長期借入金の合計で、証券業に固有の預り金・受入保証金・有価証券担保借入金等の顧客関連負債は含まない。総資産の大半はこれら顧客関連の預託金・信用取引資産等が占めるため、自己資本比率は業態上低位で推移する。
CFと利益の質
前期は営業CFが大幅な支出(信用取引資産・預り金等の増減が主因)となり、純利益との乖離(+navy)が生じていた。当期はこの動きが反転して営業CFが収入超過となり、純利益を上回る健全な構図(▲bronze)に転じている。
業績予想・配当
本書は有価証券報告書であり、次期の数値業績予想の開示は含まれていない。配当については、前期に500億円(連結)を実施していたが、当期は連結・単体とも配当の実績がなく、配当性向の記載もない(「-」)。配当政策は内部留保確保と業績動向を総合的に勘案して決定する方針としている。
資本効率と株主還元
| ROE | 19.2%(前期19.0%) |
| EPS(基本) | 14,758.31円(前期13,178.15円) |
| 1株当たり純資産 | 84,613.76円(前期68,940.70円) |
| 配当 | 当期実績なし(前期は500億円) |
| 自己株式取得 | 記載なし |
| 主な資金使途 | 信用取引に係る顧客貸付資金、短期金融市場調達・社債発行による資金調達 |
| 期後の主要事項 | 2026年3月:岡三証券との「岡三オンライン証券」事業に係る吸収分割契約を締結 |
論点整理
論評編集部は、開示された事実の範囲で本件を記録する。配当方針の今後の動向や岡三オンライン証券事業の統合状況については、続報が提出され次第、改めて確認する。
