堀田丸正――RIZAPの影を離れ、Bakktの光へ。
堀田丸正は7期連続の営業赤字を抱えながら、親会社がRIZAPグループから米暗号資産関連会社Bakkt Opco Holdingsへ交代し、定款変更による業態転換を宣言した。しかし2025年9月期中間報告書の財務諸表上に暗号資産関連の売上・資産・投資は一切存在せず、「構想だけが先行し実体が伴っていない第一段階」と見るのが自然だ。
出典:堀田丸正「第73期中間報告書」(2025年11月12日提出)
決算サマリー(2025年4月〜9月期)
2025年4月〜9月期の中間決算は、売上高14億5,280万円(前期比▲5.1%)、営業損失▲1億9,370万円(前期▲2億1,000万円から改善)、経常損失▲1億8,890万円(前期▲2億円から改善)という結果となった。一方、親会社株主に帰属する純損失は▲2億4,030万円と前期(▲2億3,100万円)からやや拡大した。総資産は30億5,700万円(前期33億3,000万円、▲8.4%)と圧縮が続いている。
| 指標 | 今期 | 前期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 14億5,280万円 | 15億3,000万円 | ▲5.1% |
| 営業損失 | ▲1億9,370万円 | ▲2億1,000万円 | 改善 |
| 経常損失 | ▲1億8,890万円 | ▲2億円 | 改善 |
| 親会社株主帰属純損失 | ▲2億4,030万円 | ▲2億3,100万円 | 拡大 |
| 総資産 | 30億5,700万円 | 33億3,000万円 | ▲8.4% |
| 自己資本比率 | 79.2% | 77.1% | +2.1pt |
| 現金及び預金 | 3億9,178万円 | 5億1,900万円 | ▲1.2億円 |
| 短期貸付金 | 9億円 | 11億円 | ▲2億円 |
出典:堀田丸正「第73期中間報告書」(2025年11月12日提出)
支配構造の転換
RIZAPからBakktへ
堀田丸正はかつてRIZAPグループ傘下として再建を進めていたが、2025年夏を境に親会社がBakkt Opco Holdings(米国)へ交代した。Bakktは暗号資産の決済・カストディ基盤を手がける米系事業者であり、この持分移動は単なるファンドトランザクションにとどまらない。2025年9月末時点の主要株主構成は以下のとおりである。
| 株主 | 持株比率(2025年9月末) |
|---|---|
| Bakkt Opco Holdings | 29.98% |
| RIZAPグループ | 27.25% |
| ほかSBI系・機関投資家 | 約10% |
出典:堀田丸正「第73期中間報告書」(2025年11月12日提出)
この構造変化は、RIZAPが引き取った「衣料商社の殻」をBakktが取得し、上場企業を暗号資産関連事業の受け皿として活用しようとする意図として読める。支配権の移転が実質的に完了しているかどうかは、今後の役員構成・事業戦略の具体化によって確認される局面にあると見るのが自然だ。
セグメント別の業績構造
中核事業は「きもの」「ファッション」「マテリアル(素材)」の3セグメントで構成されるが、いずれも縮小基調にある。
出典:堀田丸正「第73期中間報告書」(2025年11月12日提出)
営業キャッシュフローは▲2億円。在庫資産は3.2億円と減少したものの、営業赤字は7期連続となった。繊維商社としての構造的な収益力は既に失われており、事業3セグメントの合計では自走的な黒字化が見込みにくい状況にあると見るのが自然だ。
キャッシュフローと財務の実態
表面上の自己資本比率は79.2%と高水準だが、その実態は精査を要する。短期貸付金の極度額は12億円で期末残高は9億円。貸借対照表の約3割を1億円単位の資金移動を伴う金融性資産が占める構造である。
出典:堀田丸正「第73期中間報告書」(2025年11月12日提出)
営業CFマイナス×投資CFプラスという組み合わせは、製造・販売の実体よりも貸付スキームの管理・回収によって財務を維持している構図を示している。貸付金の回収が滞れば流動性は急速に細ると見るのが自然だ。
臨時株主総会と暗号資産事業への転換宣言
2025年11月に公表された臨時株主総会議案は、企業としての方向転換を明確に示した。議案の骨子は(1)商号変更(予定)、(2)暗号資産関連事業の新設(定款への追加)、(3)新取締役体制と株式報酬制度の整備、の3点である。
Bakktによる「Web3再生構想」の一環とされるが、2025年9月末時点の財務諸表上に暗号資産関連の投資・売上・資産計上は一切存在しない。定款変更によって事業目的は拡張されるものの、実際の事業活動・収益化の時期・規模はいずれも不明であり、「構想が先行し実体が伴っていない段階」と見るのが自然だ。
出典:堀田丸正「第73期中間報告書」(2025年11月12日提出)、臨時株主総会関連開示(2025年11月)
継続企業の前提に関する記載
同社は中間報告書において「継続企業の前提に重要な不確実性は認められない」と結論づけている。しかし報告書本文(リスク欄)には、以下の記述が明記されている。
「重要な疑義を生じさせるような事象や状況が存在しております。」(報告書 p.3)
会計処理上は継続企業に関する注記の付与を回避しつつ、本文では疑義事象の存在を認める構成になっている。営業赤字の継続・資金流出・新規事業の不透明性という三つの要因が同時に存在している以上、継続企業の前提が資本再編の進捗に強く依存している状況と読むのが自然だ。
出典:堀田丸正「第73期中間報告書」(2025年11月12日提出)p.3
論点の整理
以上の分析から、堀田丸正の現局面における主要な論点は次の3点に集約される。
出典:堀田丸正「第73期中間報告書」(2025年11月12日提出)をもとに論評編集部が整理
繊維商社としての収益構造が既に機能せず、代替事業の実体もない現状において、企業の持続性は資本再編の進捗と外部支援に依存していると見るのが自然だ。
この転換を、どう追うか
臨時株主総会の決議内容・商号変更の実施時期・暗号資産関連事業の初回売上計上・継続企業注記の有無を次期決算で確認する。貸付金の回収状況と残高推移も継続して記録する。
